先週、厚生労働省から平成26年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。

精神障害については、請求件数・支給決定件数ともに過去最多となっていて、とてもセンセーショナルに感じますね。

こういった統計を見るときには、報道や広報の見出しだけでわかったようなつもりになるのはいけないと思います。

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平成23年に新たな労災認定基準が設定されわかりやすくなったこと、労働者に権利意識が強くなったこと、ハラスメントやブラック企業が社会問題化していることなどもありますから、昔と比べ労災請求という選択肢が現実的になっています。

支給決定件数が増えたのも、請求件数が増加しているのだから自然な現象です。

ですが、業務上、心の病気になられた方や命を絶たれた方が増加したと単純には言えません。

 

そこで、厚生労働省が発表した資料を少し細かく見てみました。

請求した年度と支給が決定した年度にズレがあるため単純比較はできませんが、新基準ができた次の年度である平成24年度は、ぐっと認定率が高くなっていまが、ここ3年の動きとしては、似通った認定率と言ってよいかもしれません。

 

しかし、請求・支給ともに件数が増加していますから、重要なのは企業側の労災のリスクは間違いなく高まっていることです。

労災が請求されれば、企業にはそのレッテルが貼られ、対外的に知られてしまったら社会的信用にも響きます。

そして、大切な人財を失うことにもなります。

やはりメンタルヘルスは経営の課題なのです。

 

労働災害を請求するというのは、非常にエネルギーのいることですから、決断に至るには相当な覚悟があったと思います。

また、請求する側(ご遺族も含め)には組織に対する強い負の感情があり、もともとの関係性が良くなかったことも想像できます。

 

経営者にとって、労働法規を守るのは最低限のことで、その上で、労働者との信頼に基づいた良好な関係を結ぶことが求められます。

 

メンタルヘルス対策の入口が労災対策や問題事象対応だったとしても、長期的な見通しを持って取り組まれると、必ずや生産性向上に結び付くことになります。

50人以上の従業員を抱える事業場では、ストレスチェック義務化が12月から始まりますので、よい機会ととらえ、総合的なメンタルヘルス対策を今からご準備ください。

「何かあったら」ではなく、何もない時から、パフォーマンスの高い健康いきいき職場を作りましょう。

 

<追記>

今回の統計データをさらに詳しく見ていくと、業種別の数字と職種別の数字が興味深いです。

業種別では、平成25年度と比べて、決定件数で「運輸業・郵便業」が件数・全体の比率ともに増えています。

長距離バスの運転手が過酷な勤務状況の中で事故を起こしたという事例もありましたので、そういった影響があるかもしれません。

 

職種別の数字で、どう解釈したらよいかわからないことがあります。

それは、「管理的職業従事者」の平成25年度からの増加率がダントツで高いことです。

(「管理的職業従事者」は、総務省の分類により、「事業経営方針の決定・経営方針に基づく執行計画の樹立・作業の監督・統制など、経営体の全般又は課(課相当を含む)以上の内部組織の経営・管理に従事するものをいう。国・地方公共団体の各機関の公選された公務員も含まれる。」と定義付けられています。)

背景に何があったんでしょうか???