働く人と組織のメンタルヘルスを支援するオフィスソトコト木下芳美です。
今年も、産業能率大学の理想の上司ランキングが発表されましたね。
話題性のある人が上位になるので人気ランキングのようなものですが、それなりに時代の写し鏡だと感じます。
男性1位の松岡修造さんは、錦織圭選手の子供時代のコーチだったことや、日めくりカレンダーも大人気だったことで「なるほど、そうだよね~」という印象。
女性1位の天海祐希さんは、6年連続なんですね。女性の活躍推進が世の中の動きになる中、カッコイイ女性上司を求める新人さんが多いのもうなずけます。
さて、私が「これは面白い!!」と注目したのは、男性の6位に入ったTOKIOのリーダー城島茂さん。
2014年の24時間テレビで、ランナーを務めたという話題性の影響を感じつつも、リーダーシップの形として城島さんのありようが一定の評価を得ているのだと思ったのです。
TVを通じたイメージでしかありませんが、TOKIOのメンバーとのやり取りを見ていると、遊ばれていたり、ネタにされたり、「俺がリーダーの面倒を見ないと」と周囲から助けられたりと、正直言って頼りがいがあるとは言い難く、「リーダーのために」とか「リーダーを支えよう」とか、ほっとけない気持ちにさせる人だなと感じています。
もちろん、もともと人としての魅力があり、好意を持ってもらえてるからこそ、この図式が成り立つのは言うまでもありません。
昇進をきっかけにメンタル不調に陥る方の中には、人をまとめることの難しさにぶち当たって、自分にリーダーは務まらないと感じている方が多いです。
また私の経験上の話ではありますが、エドガー・シャイン博士のキャリア・アンカー質問票に記入してもらうと、メンタル不調を経験している方はGM(全般管理コンピタンス)にアンカーがおりていない方が多い印象です。
キャリア・アンカー質問票の文章の理解も、自分のフィルターを通した理解になるため、管理職やリーダーというとステレオタイプ的に「俺についてこい」という強健なリーダーをイメージする人が多いからかもしれません。
キャリア・サバイバル(キャリア・ドリフト)として、周囲からの期待に応えられるようスキルをアップすることも大事ですが、対話不足で周囲の期待を誤解してしまっていることもあります。
例えば、「きっと部下たちはグイグイ引っ張っていってくれる上司を求めているに違いない」と自分には向いていないリーダー像を勝手に描いてしまったけれど、部下たちは、自分の思いも取り入れてくれて仕事を任せてくれるリーダーを希望している…というように。
自分の持ち味を見失って「リーダーは無理!」と決めつけてしまうのはもったいないと思います。
持ち味、つまり強みを活かしたリーダーシップの形を模索したら、「こんなリーダーにならなれる!」と目指すべきリーダー像が見つかるかもしれません。
「昇進うつ」と言われるタイミングで調子を崩した人も、もう一度自分らしいリーダーの姿を思い描けたら、キャリアのReスタートにもなりそうだと思うのです。
もし、自分は人の上に立つのが苦手と思う方がいらっしゃったら、「理想の上司6位城島茂」という結果をどうお感じになりますか?
TOKIOのリーダー城島さんは、決してリーダーとしての傑出したカリスマ性があるタイプではありません。
温かく穏やかで、ユーモアがあって、自分の弱みを隠さず、メンバーを尊重する、どことなく頼りないけど自分たちを見捨てたりしないという安心感のある人。
そういうリーダーの下にいると、自然とメンバーが育つ土壌ができ、組織としても強くなるような気がします。
今後間違いなく、職場に女性の割合が高まり、女性リーダーも増えてきます。
そういう意味でも、女性版 城島茂型のリーダーも、素敵じゃないですか?